第三回かわさきコンパクトセミナー報告(2011年11月18日)
川崎市にも企業が数多く存在する中で、各企業の行うCSRは実際に市民からどのように評価されているのか--「CSRを評価する市民の眼~コミュニケーションから考えるCSR~」と題し、今回のかわさきコンパクトセミナーでは、日本財団 経営支援グループ CSR企画推進チームの木田氏を招いてお話を伺いました。
日本財団が2007年より5年間実施したCSRに関する市民アンケート調査の中で、2008年度調査分から市民が評価するポイントは「企業の行っている取り組みへの共感性を評価」が約35%と一番多く、次に「本業を上手く生かしながらCSRに取り組んでいるから」「地域との積極的な関わりを評価」が約10%ということがわかった。
現在、多くの企業が発信するCSR報告書の力点が、環境負荷に関する情報やコンプライアンス関連の情報、自社の広告・宣伝につながる情報に置かれていること、またCSRの内容に関しても本業や地域とは離れた分野の社会貢献活動が多いのが現状だ。
一方、市民が求めているのは、企業側が提供する商品・サービスの安全性に関する分かりやすい情報、そして、自分の住んでいる地域や身近な問題と関わりのある情報、更には障がいを持ったり、育児中だったりと多様な人が働きやすい会社かどうかを判断できる情報であり、双方の情報のミスマッチ=コミュニケーションが適切に行われていないことが見て取れる。

これからのCSRの活動・報告は誰に向けて何を発するべきか。近江商人の三方良しになぞらえると「売り手」「買い手」「世間」の三者に向けて考えられるが、日本市場では「売り手」である従業員とのコミュニケーションが一番遅れていることが日本財団の調査でわかった。これまで日本企業では、労働組合・社会保険といった形式で会社と従業員との関係性は存在していたが、今まさに求められている多様な雇用が実現されているかといった視点がまだ遅れている。自社のミッションを理解しながら良質な労働力を提供してくれる人材=社員に向けて、どういう取り組みをするかが求められているのだ。
例えば、同財団が実施する2007年度のCSR大賞で、地域推薦部門金賞を受賞した、新潟県・一正蒲鉾株式会社では、従業員の7割が女性であり、企業内保育園を充実させるなど、出産を経ても働き続けられる環境がリーダーを育てる大きな存在となっている。こうして、女性の雇用環境を守ることが評価され、投資家も集まっている事例が存在する。
よく「CSRは大きな会社だからできる」という声もあるが、中小企業でも業種によらず、本業を生かしながら、地域社会といい関係を築けるのではないか。

--会場では、企業から震災支援をした際の経験から「CSRをやったときに受け取る側にきちんと届くのか、そこからやってよかったという実感を持てるのか」といった点が気になるという声や、NPOから寄付や協働において「特定の大きいところが大きくなっていく一方で、草の根の団体はつぶれていくといったこともあるので、公平に話しあい分配していける環境づくりが必要」という声がありました。
また、「ポジティブインパクトだけでなく、労働問題をはじめとするネガティブインパクトについても考える必要があるのでは」という声もあり、講師の木田氏からも「これまで日本企業ではあまり特に雇用の多様性を意識しなくてもやってこれたが、企業行動がグローバル化していく中で今後は難しいだろう。サプライチェーンの中で、中小企業についても、どう各社の取り組みを充実していくかが大事になる」というコメントもありました。グローバル・コンパクトをベースとしたかわさきコンパクトでも、環境だけでなく多様な取り組みを支援していく、新たな気づきを得たセミナーとなりました。
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